正しいランニングフォームは4スタンス理論で身に付けろ!
2016/06/24
世界陸上や箱根駅伝など様々なエリートランナーをテレビで気軽に拝見できる現代。
だからこそ思うこととしてランニングフォームの多様性というものがあります。
長距離選手という枠組みだけで見てみても腕振りや脚の運び、接地の仕方など結構違いがあったりします。
個人名なんか出しちゃうと悪い気がするのですが、元中央大学の塩谷選手。
彼なんかは大分独特な走り方をしていました。
それでも日本のトップクラスのランナーたちが集う箱根駅伝第88回大会ではアンカーで区間2位の好成績を残しています。
「本能に任せた走りをすれば良い!」
なんて考えの人もいるかもしれませんが初心者にはそういったものこそ難しい。
そこで廣戸聡一氏が考案した4スタンス理論というもので自分にあったランニングフォームを見つけてみましょう!
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4スタンス理論とは
平成22年度JOC強化スタッフに参加した廣戸聡一(ひろとそういち)氏が考案した面白い理論です。
廣戸聡一とは
1961年東京都生まれ。
NPO法人「レッシュ・プロジェクト」代表。
スポーツ整体「広戸道場」主宰。
平成22年度JOC(日本オリンピック委員会)強化スタッフ。
重心と軸の個体差を解明した画期的な身体理論である「レッシュ理論」を提唱。
トップアスリートのコンディショニングから介護の領域まで幅広く指導するフィジカル・
スーパーバイザー。
4スタンス理論とは人の体を骨格や筋肉のつき方から起きる重心の違いにより4種類に区分けし、それぞれの正しい身体の動かし方を考えたものです。
下記画像を御覧ください
重心の違いにより足裏のどこに体重が乗るか変わりますよね。
それを4スタンス理論に当てはめ、区分けすると画像のようになるわけです。
この重心の違いによってランニングフォームだけでなく、ゴルフや野球、サッカーにバスケットボールなど様々な運動でどのように身体を動かすべきか決まってきます。
しかし今回はランニングフォームの違いのみを記載しようと思います。
他のものまで書いてたら凄まじく脱線しちゃいますからね。
因みにこの4スタンス理論に従ってランニングフォームを変えると下記動画のように大分パフォーマンスが変わる場合もあります。
動画1分40秒程から芸人のザ・たっちの二人が4スタンス理論を実践しています。
100m走を実施し何もしていない状態では両者共に18秒。
その後片方に4スタンス理論の指導を行ったところ16秒まで速くなりました。
(先にタイプごとのランニングフォームを書いています。その後タイプチェックの方法を載せているので、そっちを先に見たい方は飛ばしてください)
4タイプのランニングフォーム
A1タイプ(つま先内側型)
・「みぞおち」「ひじ」「膝」「人差し指」にポイントがある
・肩が上下左右に動く
・上半身の上の方で腕振りをする(胸のライン辺り)
・腕は脇を軽く開く
・腕は前から後ろ(上から下)へ意識して振る
・みぞおちが前に引っ張られるようなイメージで進む
・つま先から地面に着く。つま先を軽く地面にタッチするイメージ。
・高い腰の位置
・ピッチ走法
・目線は遠方の斜め下あたりに落とす
・スタートのとき、前足のつま先に重心を乗せる
・下り坂が得意
A2タイプ(つま先外側型)
・「みぞおちの裏」「ひじ」「膝」「薬指」にポイントがある
・肩はほとんど動かない
・上半身の上の方で腕振りをする(胸のライン辺り)
・腕は脇を閉め、体側に沿ってまっすぐに振る
・腕は後ろから前(下から上)へ意識して振る
・みぞおちが前に引っ張られるようなイメージで進む
・つま先から地面に着く。つま先を軽く地面にタッチするイメージ。
・高い腰の位置
・ピッチ走法
・目線は目の高さとほぼ水平におく
・スタートのとき、前足のつま先に重心を乗せる
・下り坂が得意
B1タイプ(かかと内側型)
「首の後ろ」「へそ裏」「足首」「人差し指」にポイントがある
・肩はほとんど動かない
・上半身の下の方で腕振りをする(へその辺り)
・腕は脇を閉め、体側に沿ってまっすぐに振る
・腕は後ろから前(下から上)へ意識して振る
・骨盤が前に引っ張られるようなイメージで進む
・かかと(または足裏全体)から地面に着く。足裏で地面を押すイメージ。
・かかとをお尻に引き付けるイメージ
・低い腰の位置
・ストライド走法
・目線は目の高さとほぼ水平におく
・スタートのとき、後足の足裏全体に重心を乗せる
・上り坂が得意
B2タイプ(かかと外側型)
・「首の付け根」「へそ」「足首」「薬指」にポイントがある
・肩が上下左右に動く
・上半身の下の方で腕振りをする(へその辺り)
・腕は脇を軽く開く
・腕は前から後ろ(上から下)へ意識して振る
・骨盤が前に引っ張られるようなイメージで進む
・かかと(または足裏全体)から地面に着く。足裏で地面を押すイメージ。
・かかとをお尻に引き付けるイメージ
・低い腰の位置
・ストライド走法
・目線は遠方の斜め下あたりに落とす
・スタートのとき、後足の足裏全体に重心を乗せる
・上り坂が得意
※追記
面白い話としてタイプごとに上り坂が得意な人と下り坂が得意な人が生まれます。
そこでトップアスリートで下り坂が得意な人と、一般レベルで上り坂が得意な人、二人が階段ダッシュで競ったところ一般レベルで上り坂が得意な人が勝利しました。
このことからタイプによってコースの向き、不向きが大きく変わってくると考えられます。
重心の調べ方
さて4種類のタイプを書きましたが、何となく自分で重心はこのへんかなーってチェックの仕方では正確性に欠ける気がしますよね。
そこで自分がどのタイプに属しているのかをチェックするための方法を紹介いたします。
自分がAかBかのチェック方法や1か2かのチェック方法。
パラレル・クロスチェックはA2、B1かA1、B2かが分かります。
とりあえずABチェックと1,2チェックをやれば良いと思います。
A/B チェック法
・立った状態での前屈
両手の平を股関節の前から滑らせていくのと、お尻から滑らせていき、より倒せてやりやすい方を調べます
股関節前の人はAタイプ
おしりからの人はBタイプです。
・他者に寝返りをうたせてもらう(ペア)
みぞおち裏と膝裏に手を回し寝返りを打たせてもらうのと、
首付根の裏とお尻に手を回し寝返りを打たせてもらう。
どちらがやりやすかったか、またペアの人はどちらの方が寝返りを打たせやすかったかを調べる。
みぞおち裏と膝裏ならAタイプ。
首付根の裏とお尻ならBタイプ。
・膝立ちの状態で他者の腕を引っ張る(ペア)
膝を直角に曲げ、膝から上は床に垂直に真っ直ぐ立てる。
膝を鋭角に曲げ、おしりを軽く引いてどっしりと構える。
どちらが力強く、身体を安定して引っ張れたかをチェック。相方にもどちらが力強かったか。また上体が安定していたかを聞く。
膝が直角の方ならAタイプ。
膝が鋭角の方ならBタイプ。
1/2 チェック法
・肩の動かしやすい手の形を調べる
親指と人差指で丸を作り、腕を真っ直ぐ前に伸ばす。その状態のまま腕を真横へ引く。
親指と薬指で丸を作り、腕を真っ直ぐ前に伸ばす。その状態のまま腕を真横へ引く。
この時、逆の手は上げている腕の方の肋骨を抑え上体を安定させる。
どちらが後ろまで楽に引けたかを調べる。
親指と人差指の方なら1タイプ
親指と薬指の方なら2タイプ
・イスなどに座った状態から立ち上がる
内側へ絞るように立ち上がる。
外側へ開くように立ち上がる。
楽でかつ力強いやり方を調べる。
内側へ絞る方なら1タイプ
外側へ開く方なら2タイプ
・仰向けの状態で腕を引いてもらう(ペア)
人差し指と中指を掴ませ、腕を引かせる
薬指と中指を掴ませ、腕を引かせる
肩や肘、手首が引っかかり無く、深く引ける方を調べる。
人差し指と中指なら1タイプ
薬指と中指なら2タイプ
パラレル/クロス チェック法
・四つん這いの状態で体幹部分を反らせたりする(ペア)
後面を意識し背中を反る。
前面を意識して胸から腹部にかけて反らせる。
頭部がぶれないように注意
より胴体が反り、体幹が安定してる方を調べる。
後面意識の方ならパラレル(A2、B1)
全面意識ならクロス(A1,B2)
・手押し相撲(ペア)
両足を揃えて手押し相撲を行う
両足を前後違える。この時の前後の差は親指の爪程度の小さな差。
どちらが力強く押せたかをチェック。
両足を揃える方ならパラレル
両足を前後違える方ならクロス
・イスに座って前屈(ペア)
両手首を外側へ反らしながら前屈を行う。
両手首を内側へ曲げながら前屈を行う。
ペアには胸を抑えてもらいます。多分説明不足なので動画を見てからのほうがいいかも。
腹筋部分のやりやすさや力強さ、耐久性をチェック。
外側へ反らした方ならパラレル
内側へ曲げた方ならクロス
まとめ
因みに筆者が重心チェックを行ったところ左右で違いが生まれました。
……(・3・)アルェー
どうやら骨盤の歪みなどで左右の重心に違いが生まれてしまっているようです。
治すには早期発見ならカイロプラクティックなどへ行き骨盤矯正をしてもらう。
末期では筋肉が左右偏ってついてしまっているため矯正してもまたすぐに戻ってしまいます。
そのため理学療法士(整形外科とかにいるよ!)に頼り、左右の筋力差をなくしながら骨格の歪みを根気良く無くしていくしかないようです。
そんなめんどくさいことやってられるかと言う人は別にそのままやってもいいんじゃないかなと思います。
単純に左右で違う動きをすればいいんですから。
ただし怪我のリスクやパフォーマンスの低下が発生する可能性もありリスキーではあります。
ですが100m王者ウサイン・ボルトは背骨が歪んでいるとか聞きますし、ケニアのランナーたちも幼少の頃に左腕で教材を抱えながら走って通学するため左だけ抱え込むように走る人も多いと聞きます。
なので左右差があっても何とかなるんじゃないかなーとか無責任に思ってます。
まとめとか言っておきながらまとめてないので、ここから本当にまとめます。
・人の体は4パターンの動きで最適化出来る。
・それは自己チェック法などで確認できる。
・最適なランニングフォームは記事中参考。
とりあえず時間のある方は自己チェックだけでも良いので試してみると面白いのではない方と思います!
それからこの4スタンス理論、まだまだ成長過程にある子どもを育てる上では大変有用な理論だと思われます。
例えば逆上がりは順手向きか、逆手向きかというものもタイプごと違いますし、ボールの投げ方なんかも変わってきます。
親御さんにはぜひ一度学んでいただきたい理論です!
※追記
色々研究してみたところ左右で重心に違いがある原因は、両肩の高さが違うことの場合が多そうです。
どちらかが正しい高さだと思われますので肩を上げてみたり、下げてみたりして調整してみると骨盤の歪みが整い、左右で重心の違いが無くなるかもしれません。
もしこれで重心が整った場合は筋肉のつき方に左右で大分違いが生まれていると思いますので、上手く整うように自分で考えて筋力トレーニングを行ったり、理学療法士に相談した後トレーニングメニューを考えてもらうというのが有効だと思います。
※追記2
ぶっちゃけた話すると、4スタンス理論の中でもスピードの出しやすい走り方とそうでない走り方はあります。
具体的に言えばBタイプの地面を押す走り方はスピードを出しにくいです。
逆に言えばAタイプはスピードが出る、言ってしまえば50mそうなので輝けるタイプ。
ここの何故? を掘り下げると一記事新しく書かなければいけないので避けますが、人体の構造とか力学とかそんな理由でそうなります。
では、BタイプはAタイプの走り方をすれば速くなるのか?
これはそうである部分とそうでない部分があります。なぜならBタイプとAタイプでは使う筋肉が違います。
そのためタイプを変更すると神経系および筋力が育っていない部分で走ることになります。
とはいえ伸びしろ的にはAタイプに軍配は上がりますので長期的に見ればAタイプに変更する選択肢もありでしょう。
ただ個人的には骨格に適さない走りをすることになるため、怪我や日常生活への影響(腰痛・肩こりなど)が出てくる可能性が高くおすすめしません。
まとめますとAタイプのほうが速く走れるが、Bタイプの人が安易にタイプ変更をしてしまうのは推奨しない。変えるのは博打に近い行為と認識してほしいということです。
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