ラン学-マラソンブログ-

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抗酸化サプリ(ビタミンA・C・Eなど)の負の一面

      2015/01/28

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有酸素運動を行うと活性酸素が発生し、老化が促されたりするため抗酸化サプリを摂るべきである。

そういう話はランニングをしているとよく耳にします。

私もそれを鵜呑みにして夏場なんかは特にビタミンCを意識的に摂取したこともあります。

そんな中最近発見したのがそんな抗酸化物質はランナーこそ摂るべきではないという論文です。

photo credit: azucrina via photopin cc

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抗酸化サプリとは

言葉通りの意味で酸化することを防止するサプリメントです。

対象となる栄養素は
活性酸素の働きを抑えるベータ・カロテン、ビタミンA・C・E、セレニウム(ミネラルの一種)などになります。

なぜランナーは抗酸化サプリを摂るべきではないのか

抗酸化サプリの負の一面

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photo credit: Jonathan Kos-Read via photopin cc

色々あります、というかありました。

しかしその大半は統計からの推測でしか無いため、ただの不安を煽るものと考え紹介いたしません。

ただ、その中で気になる記事が一つありました。

それは抗酸化サプリは持久力の向上を阻害するというものです。

研究の内容について

研究内容について日本語でまとめたものです

タイトル:Vitamin C and E supplementation hampers cellular adaptation to endurance training in humans: a double-blind randomized controlled trial(ビタミンCとEのサプリ摂取は、ヒトにおける持久トレーニングへの細胞順応を妨げる:無作為化二重盲検プラセボ対照試験)

背景として、最近の研究では抗酸化サプリがエキササイズ効果(例:持久トレーニングにおけるミトコンドリア発生など)を鈍らせるのではないか、ということが指摘されているそうです。まだヒトへの研究結果は少なく、矛盾した結果もあるとのこと。

そこでこの研究では、54人の若者を2つのグループに分け、片方には一日当たりビタミンC 1000mgとビタミンE 235mgのサプリを、もう片方には有効成分のない偽薬を与え、11週間トレーニングしてもらったそうです。

トレーニング内容は週3~4回で、HRmax90%以上の負荷のHIITと、HRmax70-90%程度の30分~60分のランニング。

11週間後に2つのグループを調べたところ、最大酸素摂取量(VO2max)と20mシャトルテスト(往復ダッシュ)の成績に変化は見られなかった。ところが、筋肉を細胞レベルで見てみると、前者のグループでは持久力向上に関連するCOX4(ミトコンドリア内膜局在タンパク質複合体)の増加が妨げられていたことがわかった。他のマーカーからも、抗酸化サプリが細胞のシグナル伝達に影響を及ぼしている可能性が示唆された。

結論として、持久トレーニングをする人は、抗酸化サプリの摂取には気をつけたほうがいいとのこと。

研究内ではビタミンC・Eのみを摂取させ運動を行わせていますが、抗酸化サプリ全体が同様の効果をもたらすと結論づけられています。

また研究内容ではミトコンドリアが重要視されています。これについては以下の文章が参考になります。

ロード・レースの基礎である持久力に大きく影響するのがミトコンドリアや毛細血管だといわれている。というのも長時間運動する場合には主として糖や脂肪からエネルギーを生み出すことになるが、その役割を担うのがミトコンドリアだからだ。また毛細血管には、血液に含まれる酸素などを筋肉へと送り届ける役割などがある。ミトコンドリアや毛細血管を増やすためのトレーニング方法としては、LSDやLT付近での練習(L2~L4辺り)がよく知られているが、これにはちょっとした注意点がある。

それはミトコンドリアや毛細血管は使った筋繊維でしか増えないという指摘がある点だ。

ミトコンドリアや毛細血管は使った筋繊維でしか増えないことから、高強度練習(インターバルやレペティション)が有用であることがわかります。

それは高強度、つまり速いペースに成ればなるほど使う筋肉量が増えるからです。

対策

「抗酸化サプリ類の摂取が持久力向上に悪影響をもたらすからって、それらを避けようとしたらどれだけ食事に気を使わなきゃいけないんですかぁー!」

と、間違いなくなりますね。

これについては他の文章で、食事から十分に摂ることを推奨する。と書かれています。

当然ながら抗酸化サプリ類を全く摂らないなんてことをすると体調を壊すことは不可避になりますからね。

食事から十分摂って、サプリメントを使って多量には摂らないようにするのが一番でしょう。

活性酸素について

ランナーは有酸素運動によって活性酸素が出て老化が進む。このような負の一面ばかり取り上げられる活性酸素ですが、サプリメントで無理に抑えようものなら逆に体調を悪くします。

例えば、私たちの身体にバクテリアが侵入した場合、生体防御の第一線で働く白血球は活性酸素を産生・放出してこれを殺そうとします(なお最近、活性酸素が 直接バクテリアを殺すのではなく、間接的に関わっているという報告も出ています)。

この機能が損なわれるとひどい感染症を起こすことになります。
リンパ球の一種ナチュラルキラー(NK)細胞が、がん細胞を殺す場合も活性酸素を使っています。

また、生体内には、情報伝達、遺伝子発現の調節やプロスタグランジンの合成などのように活性酸素が関わる重要な反応も起こっています。

このような機能に関わる活性酸素はいわば“善玉活性酸素”と言えるでしょう。

活性酸素を悪と決めつけ、身体から排除しようとすれば逆に寿命を縮める原因にもなるでしょう。

しかし、老化を促進するという話も本当です。
ですが食事をしっかり摂れば(野菜とか)ビタミンCなどの抗酸化サプリ類は勝手に摂取できているのでそこまで気にする必要はないでしょう。

結論

ランナーなら抗酸化系のサプリメントは摂らない
これが現代科学が進める長距離栄養学になります。

ただし、故障を早く治す際にはビタミンCを摂ったほうが良かったりもします。

※参考
http://jp.physoc.org/content/early/2014/01/31/jphysiol.2013.267419

http://running.competitor.com/2013/11/nutrition/should-runners-take-antioxidants-during-exercise_40758

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