【考察】速筋、遅筋から考える長距離選手の才能について
2016/11/11
まず始めに今回の記事は私の考えによって構築されている部分が多く含まれています。
根拠をあげられる部分は提示しますが、科学的根拠が存在しない、もしくは私が知っていない部分は挙げられません。
何が言いたいかといえば間違う可能性もあるということです。
もちろんネット上に公開する以上、間違いの部分は無くすようには努めます。
では保険をかけるのはこれぐらいにして本題へ。
長距離選手は上から下まで幅が広く、人種による差も大きいです。
また同じ練習をしていても大きく実力に差が生まれることもあります。
何故このような差が生まれるのか遅筋と速筋に視野を向け考察していこうと思います。
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速筋と遅筋、そして覚えておくべき中間筋とは
今回の主題といえる速筋と遅筋についてわからない人向けに解説。
速筋とは
ミトコンドリアは比較的少なく解糖系による瞬発的な収縮の可能な速筋線維遅筋とは
ミトコンドリアに富んで酸素を利用した持続的な収縮の可能な遅筋線維wikipdhiaより
簡単に書くなら
速筋は出力は高いがスタミナは低い
遅筋は出力は低いがスタミナは高い
ということです。
そして覚えておいて欲しい特徴が一つ。
エネルギーの製造方法が違う点です。
上記にも書いてありますが速筋は解糖系と呼ばれるエネルギー生産方法を取り、遅筋は酸化系と呼ばれる酸素を利用した供給方法を取ります。
「早速意味の分からない言葉出たよ!」
そんな人のために軽く解説します!
解糖系は糖を分解しエネルギー(ATPと呼ばれる)を作ります。そしてそのエネルギーで体を動かすわけです。
酸化系は糖、もしくは脂肪を酸化(つまり酸素と融合させるイメージ)させることでエネルギーを作り出します。
そして覚えておいて欲しいのが、解糖系はエネルギーの生産力が高く、酸化系はエネルギーの生産力が低いことです。
そうそうミトコンドリアについても触れておかなければいけませんね。
こいつは細胞内に存在するエネルギー生産工場みたいな存在です。
こいつも長距離選手の能力に大きく影響を及ぼしていると考えていますが、今回は主人公じゃないので軽く解説する感じで済ませましょうね。
速筋、遅筋の解説にミトコンドリアの多い少ないが言及されていました。
ミトコンドリアは解糖系、酸化系両方のエネルギー生産において活躍します。
しかし比較的ミトコンドリア量の少ない速筋は疲れにより、ミトコンドリアが正常な活動を早い段階でできなくなります。
これが運動している時「もう無理」となる原因です。
ですが遅筋は速筋に比べミトコンドリア量が多いため長い間エネルギー生産を続けても活動し続けられます。
ただし残念なことに速筋に比べ筋繊維の太さが細かったりするせいで出力は弱めです。
はい!
ちょっと疲れてきましたよね?
一度頭のなかを整理しましょう。
・速筋はパワーが高い、遅筋はパワーが低い
・速筋はミトコンドリア量が少ない(持久力低い)。遅筋はミトコンドリア量が多い(持久力高い)。
・ミトコンドリアはエネルギー生産の要
これぐらい覚えてくれればオッケーです。
さて、ではもう一度遅筋と速筋の特徴に戻りましょう。
……そこ疲れた顔しない!
wikipedhiaにはそれぞれ遅筋は酸化系、速筋は解糖系を利用してエネルギーを生産すると書いてあります。
私的に違うのではと考えている面もありますが、否定できる科学的根拠を私は持っていませんし、今回の話にそんなに深く関わってこないので置いときましょう。
それでは解糖系の部分に注目します。
解糖系は糖からエネルギーを生み出す過程で乳酸も作ります。酸化系は乳酸が出来ません。
で、この乳酸は疲労物質ではなくエネルギーとして再利用できる物質です。
詳しくはこちらで。
この乳酸をエネルギーとして再利用するのもミトコンドリアです。
何が言いたいのかというと、ミトコンドリアはエネルギー生産の要でありこれの量と質は持久力に大きく作用するということ。
……あれ乳酸の話しなくても話の流れ的にミトコンドリアの話できたような?
まあ問題無いですね!
また一つ人体への知識が増えましたよ!
では、最後中間筋についてです。
中間筋は速筋からの進化系みたいなものです。遅筋は残念ながら中間筋にはなれません。
中間筋は特徴として速筋、遅筋両方の良い部分を持っています。
つまり、速筋のようにパワフルだし、遅筋のように持久力にも優れているのです。
最強の筋肉ですね。
増やし方としては速筋を使った持久系トレーニングを行うことです。
インターバルトレーニングやレペティションですね。
参考【第三回】ダニエルズ式トレーニング法IntervalペースとRepetitionペース
おそらくですが中間筋というのは速筋にミトコンドリア量が増え、ついでに質も向上した状態なのでしょう。
ミトコンドリアは遅筋にあって速筋にない、しかもトレーニングによって得られる唯一の特徴ですから。
と、ここまでが私の考察を話す上での土台部分です。
多分頭痛くなりそうな内容ばっかで半分ぐらい脱落したと思うんですけどどうなんですかね。
もう一度ここまでの内容をまとめておきましょう。
・速筋は出力高く持久力低い、遅筋は出力低く持久力高い
・ミトコンドリアはエネルギー生産の要(つまり持久力に大きく関与)
・乳酸は疲労物質ではなくエネルギー
・中間筋は速筋からのみなれる最強筋肉。出力高いし、持久力高い
速筋と遅筋の割合
思うに上のレベルに近づけば近づくほど速筋を鍛え中間筋を育てる重要性は上がってくると考えられます。
しかし遅筋と速筋は割合が人種によって大きく違います。(もちろん同じ人種でも違いはあります)
日本人の多くは遅筋:速筋が7:3と言われているのに対し、人種によっては3:7と圧倒的に速筋の多い人種もいます。
それは西アフリカ系黒人など、陸上トラック競技で活躍している人種です。
そして何より悲しい情報として生まれてから速筋と遅筋の割合は変わらないと言われています。
「は? じゃあ才能は生まれた瞬間に決まるってこと?」
その結論は近いかもしれませんが一つ疑問が残ります。
何故日本人同士にもかかわらず上位と下位で能力に大きく違いがあるのか。
「練習の量や質の違いだろ」
もちろんそれもあると思います。
ですが私の中にそれ以外にも幼少期の過ごし方で差が生まれてくるという考えもあります。
ここまでのまとめ
・遅筋と速筋は生まれた時から割合は変化しない。
・人種によって割合はだいぶ違う。
・同じ人種でも多少の個体差はある。
ちなみに短距離選手など脚の速い人間は速筋の割合が多いのもあるでしょうが、速筋を肥大化させることでスピードを得ています。
割合は変わりませんが一つ一つの筋肉を肥大化させることはできます。
筆者の考える才能
同人種でも能力に差が出てくる原因の一つに幼少期の過ごし方の違いがあると考えます。
まずこちらのグラフを見て頂きたい。
参考鍛えるべき能力は年齢ごとに決まっている!?ゴールデンエイジとは?
注目していただきたいのは脳と神経の部分が幼児・小学生(11歳以下)で伸び安さがピークに達していること。
つまり11歳以下は脳及び神経系を育てるのに最適であるという話です。
そして今からの話で重要になるのが神経の部分。
神経は色々使われていますが、筋肉を動かすのにも使われています。
神経の性能を上げると筋肉の力も最大限発揮させられるため、筋肉が同じサイズでも出力に結構差がでたりします。
で、それがどうして才能につながってくるのか。
単純に幼少期の頃から神経系を鍛えておけば同じ筋力でも出力が変わるため、結果的に同じ努力でも大きな成果を得られるというのが一つ。
そしてもう一つ。
速筋を幼少期から使い神経を強化しているか。
何故なら速筋を使いやすい人間になっておくことで、速筋を中間筋にしやすいため。
要するに私の考える才能とは神経系が伸びやすい幼少期にしっかり鍛えているかどうか、ということです。
鍛え方
まとめに入ってもいいんですがその前に神経系の鍛え方を。
神経を鍛えるならそれに電気信号を流せばいいんです。
つまり使えるようになりたい筋肉を使わせればいいんです。
私が考えるに走る筋肉+速筋の神経系を鍛えたいので瞬発力を有する、走る運動を含むものをやらせるのが大事です。
野球は塁間を全力疾走しますからいいですね。
サッカーも全力で走る場面は多いでしょう。
バスケットボールもそうではないでしょうか。
水泳はちょっと微妙かも。基本的に泳ぎの練習で終わりそうですし。
ただ今回の流れ的に微妙なだけで、泳ぎを覚えるのは重要ですし、水泳独特の呼吸方法を神経に覚えさせるのは大事かと。
バレーや卓球なども瞬発力を有しますが、走る動きは少ないため微妙ですね。
あとは普通に短距離をやらせるのも良いかもしれません。
長距離は速筋を使う場面が少なく、遅筋優勢の人間になってしまうため微妙かも。
それから脳も鍛えるのに最適な時期です。
本の音読は非常に脳を活動させるのに有効らしいですよ。
最後に神経ではなく中間筋の鍛え方について。
要するに速筋にミトコンドリアを増やすようトレーニングをすればいいわけです。
ミトコンドリアは運動時間が長いほど質・量ともに改善されやすいです。
しかし速筋は瞬発的、つまり全力に近い運動をしないとあまり使われません。
そこで、インターバルやレペティションといった速いけど何とか走りきれる距離を何度も走るのが速筋のミトコンドリアを鍛えるのに効果的です。
運動時間が長いほど質・量ともに改善効果が高いため、一度の走行距離を伸ばしたり、全体の本数を増やしたりするとなお効果的です。
そのへんは能力や疲労の兼ね合いから考えていくべきでしょう。
まとめ
いやー最初は意気揚々と書き始めたんですけど予想より長くなってしまって、途中から集中力がなくなってきましたよ。ハハハ
今回の話を簡単にまとめますと、
中間筋最強!
↓
進化前の速筋大事
↓
でも日本人少ないらしいよ
↓
じゃあ速筋の神経鍛えて出力最大限発揮させればいいじゃん!
↓
なら幼少期に神経系きたえてるかどうかって大事じゃね? てかそれって後々才能って呼ばれるものじゃね?
って感じの流れです。
正直無理やりな部分も多いですし、まとめきれなくなりそうなので触れてない部分も多いです。
例えば「遅筋ばっか小さい頃から使ってたらトップランナーになれないのか」と言われたら成れなくはないと返すしかありません。
遅筋は出力は低いですが持久力は確かですので、長い距離になればなるほど活躍できます。
いくら速筋が中間筋になれるとはいえ、全てを中間筋にするのは現状不可能と言っていいです。
ですから私の考える速筋重視では距離が伸びれば伸びるほど辛くなってきます。
もちろんトレーニングを重ねていけば最終的な伸びしろは速筋重視に分があるでしょう。
しかし、それを体験するまで練習を続けられる人間は稀です。
伸びが遅筋より長い距離は悪いですので、精神的に苦痛です。
また速筋は遅筋に比べ疲労が抜けづらいと言われています。
そのため連日の練習による怪我のリスクが高く、練習メニューをしっかり計画建てて組み立てないと練習をこなすこと自体難しくなります。
その他多分穴はたくさんあります。が、筆者の体力というか小さな脳が限界なのでフォローしません。
今回長距離選手の能力を速筋、遅筋という非常に小さな枠組みで考えました。
本来であれば技術面や、精神面、食生活の面など様々な部分を複合的に考え才能というものに答えを出さなければいけません。
ですが私としては一つ一つに解答を考えていくことも重要であると思っています。
非常に長くなってしまいましたが最後にまとめをして終わりましょう。
・筋肉には遅筋と速筋があり、筆者は上を目指すなら速筋を重要視すべきと考えている
・何故なら中間筋という速筋と遅筋の性能を持つ筋肉になることができるからだ(遅筋はなれない)
・しかし日本人は速筋が少ない傾向にある。
・では何故同じ人種でも大きな差が生まれるのか。おそらく生まれながらの割合と、幼少期の神経系の育て方に違いがあるのではなかろうか
・割合は同人種では大差は発生しない。つまり明確に才能と認識できるほどの違いが発生するとするなら神経系の違いだろう。
・よって長距離選手の才能とは幼少期において速筋と走る筋肉の神経系を鍛えているかどうかではなかろうか。
※今回の才能は速筋と遅筋から考えているため、その他要素は一切考えていない。才能の一要素と考えて欲しい。
最後まで読んでいただいた方ありがとうございました。
疑問や叱咤、アドバイスなどがあればコメントへお願いします。なるべく返答するようにします。